効率は悪いけど、大切にしたいもの

KOYOMI Labの製品は、その大部分が3Dプリンターによって作られています。

3Dプリンターで作るというと、データさえあればあとは機械が自動でやってくれる。手間もコストもかからない夢のような話だと思われているかもしれません。

確かに、ただ作るだけであれば簡単です。インターネットでデータを入手し、印刷開始ボタンを押せば欲しいものは手に入ります。
しかし、モデルを一から作り上げ、3Dプリンターの特性を見極めながら、頭の中のイメージを形にしていくのは、試行錯誤の繰り返しです。

積層ピッチ

3Dプリントは、素となる樹脂を溶かし、層を下から積み重ねることで造形していきます。この一層の厚みを「積層ピッチ」と呼びます。

一般的な積層ピッチは0.2mmで、速く、それなりに綺麗に仕上がり、効率よく造形できます。しかし、KOYOMI Labでは、すべての製品を0.08mmピッチで造形しています。

0.2mmと0.08mm。数字だけを見ると、小さな差に思えるかもしれません。ですが、造形にかかる時間はおよそ2〜3倍になります。

「ミニしるべクリッカー 鉄瓶」の場合、0.2mmは41分で造形できるが、0.08mmでは1時間47分かかる。

手に持つもの

なぜ効率を捨て、0.08mmを選んだのか。それは、KOYOMI Labの製品が人の日常に寄り添い、毎日使い続けてもらいたいものだからです。

試作段階では、0.2mmで造形します。直線的なデザインやカーブの緩やかなものは、0.2mmでも積層が目立ちにくく、使用する樹脂の種類によっては気にならない場合もあります。
しかし、じっくり眺めたときや指で触れたときに、小さな違和感に気づきます。毎日見て触れるものだからこそ、その「小さな違和感」が気になりました。

0.2mmでは積層の段差が目立つのに対し、0.08mmでは表面が滑らかに仕上がる。

効率を求めるなら、0.2mmで造形するのが正解です。同じ時間でより多く作ることができ、コストも下がります。やっていることはまったく無駄なことかも知れません。
それでも、毎日使い続けてもらいたいものだからこそ、妥協のない製品を作りたい。そんな思いで、コストよりも品質を選びました。

0.2mmでは、カーブで造形が乱れたり(画像上)、穴が潰れたり(画像下)することがある。

KOYOMI Labのものづくり

3Dプリンターで作られた製品は、データさえあれば複製が容易なため、「安っぽい」「手間がかかっていない」という印象を持つ方もいると思います。それはあながち間違いではありません。

しかし、造形品質や使用する素材、綺麗な造形を実現するモデリングなど、作り手次第で出来上がるものの質は大きく変わります。
事実、3Dプリンターの技術的な制約はまだまだあります。その中でできることを突き詰めていくことが、KOYOMI Labのものづくりに対する姿勢です。